|
|
襖の業界を述べる上で、昨今の和室離れ、受注単価の低下などはもう言い古された感があります。
襖の専門メーカーは殆んどなく、自己防衛のため、戸襖・障子といった和室建具はもとより、
それ以外の木製建具・内装などへ取扱商品を広げ、軸足を変えていく業者が多いのが現状です。
当襖業界は、数字的に見れば著しい右肩下がりで、将来消滅してゆく業界であることを、厳しくも認識せざるを得ないでしょう。
そのような状態を理解しながら、では何故今、力を注いでこのような全国規模の組織を作ろうという気運が出て来たのでしょうか。
|
|
■業界の確立 |
先日、天皇陛下がハリマ産業の襖工場視察に行幸された折、ハリマ産業大久保社長は天皇から
「あなた方の業界はどれくらいの規模ですか?」とご質問を受け、一瞬、答えに窮したといいます。
業界としての規模さえ各社が正確に捉えられていないのが当業界の現状です。
某新聞社社長が、経済産業省から連絡を受け「襖について訊くところはどこか?」と尋ねられました。
その新聞社社長は、一瞬答えに窮したといいます。「どこを推薦したら良いのだろうか。」と。
そこで先ずは襖についての可能な限りの全国レベルの情報を持ち、各関連企業はもちろん、行政・民間の建築、設計、
そして一般に対して平等に発信することの出来る業界の全国組織を作ることが第一であると考えました。
|
|
■経済活動の封鎖と組織形態の変化 |
旧来の業界団体の多くは、深く公的発注機関と結びつき、競争力を排除した利益分配をすることにより、
組織を維持、拡大してきました。
時代は行政改革の時を迎え、その形態は終焉を迎えつつあります。
残る組織は愚痴を言い合う親睦団体と、伝統的な高い技術資格を目指す集団ぐらいです。
普段ライバルである同業者の組織を作る上で、日常の各々のしのぎ合いは土俵に上げないことを基本として、
高いレベルでの業界の存続を目指した意思統一を掲げたいと思います。
それ故に営業活動は各事業所にお任せし、組織としての経済活動は、一切行わないことを明記します。
逆に各会員が各々営業活動、経済活動がしやすい土壌作りを目指すものであります。
|
|
■会 員 |
現状を見据えた上で、和襖はもとより、チップ芯、ダンボール芯、発泡系、アルミ縁タイプも含めた襖も包括し、襖について話し合える、
和室が増え、襖の仕事の増加を望むことを基準として会員を募ります。
襖メーカーと材料メーカーを、従来のように正会員と賛助会員に分けず、
活動について賛同され協力いただける会員を平等に扱いたいという理念からすべて会員とし、
襖メーカーは「完成品部会」、材料メーカーは「材料部会」という形で区分けして運営して行くつもりです。
|
|
■将来へ 〜 グループパワー |
「この会に入ると何のメリットがあるのですか?」とよく聞かれますが、
組織が動くことによってメリットを作っていきたい。どなたかが「グループパワー」という言葉を使っていらっしゃいました。
良い言葉だと思います。
先ず集まることによって、話し合うことによって何かが生まれる。集まらなければ何も生まれない。
これから10年20年、この組織をもとに次世代の襖業者が知恵を出し合い、業界の発展といわず、最低限維持が成されればと願います。
そして平安時代からの歴史をもつ、住文化の中の襖の業界が、100年後200年後の将来に向って存続していくことを願います。
|
|
|